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2008年1月19日 (土)

みんなで見よう!映画「母べえ」

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映画「男はつらいよー寅さん」シリーズの山田洋次監督がメガホンをとり、吉永小百合さんが主演の映画「母(かあ)べえ」が1月26日から全国で封切される。平和の尊さをしみじみと伝える作品として期待が高まっている。物語は、現世では信じられないような悪法であるが、戦前の日本に存在した「治安維持法」によって、突然一家の大黒柱のドイツ文学者である「父(とう)べえ」が捕らえられ、姉妹と母が獄中と手紙を交わしながら懸命に生きる姿を描く。しかし、治安維持法とはどんな法律だったかを多少紹介しておかねばなるまい。この法律は1925年に当時の天皇制政府が創立まもない日本共産党などを標的に制定した弾圧法である。「国体を変革」「私有財産制度を否認」することを目的とする結社の組織・加入・扇動・財政援助をすると罰せられた。「国体」とは天皇が絶対的な権力をもつ政治体制で、「私有財産制度否認」とは社会主義的な思想や運動を捻じ曲げて描いた政府の表現である。28年にはさらに大改悪され、天皇を批判したりすると死刑になるとか、自由主義的な研究や言論、宗教団体の教義さえも弾圧の対象とされた。政府発表では送検者75681人、起訴5162人であるが、実際は特高による逮捕者は数10万人。作家、小林多喜二のように取り調べの拷問で虐殺された人が194人、獄死したのが1503人とも言われる。日本共産党には1928年3月15日、29年4月16日に壊滅的な大弾圧を加え、党幹部、活動家など多くの犠牲者をだした。そして太平洋戦争へと進むが、まさに戦争と言論統制はセットで忍び寄ることを証明した。1945年、日本の敗戦とともにGHQの命令でこの稀代の悪法は廃止となったが、犠牲者にたいする国のけじめは未だにつけられていない。このような時代のことだから、物語は暗くなりがちだが、映画「母(かあ)べえ」では、「母と娘たちのささやかな話を描いたつもりが、完成してみると別のにおいがたちこめていたといいますか、お茶の間の向こうに戦争が見えている。僕たちが描きたかったのは、恐ろしい戦争の時代だったんだ、と気付かされたのです」としんぶん赤旗日曜版1月20日号で山田洋次監督はインタビューに答えている。だから「息の詰まるような時代の話なのに、ユーモアを交えてつづられていて、(原作を)読んだとき“こんな映画が撮りたかったんだ”と思いました」とも続けている。そのうえで山田監督は「吉永さんは年齢とともに美しくなっていく、奇跡のような不思議な女優さんです。吉永さんに演じてもらえなければ撮るつもりはありませんでした」と吐露している。子どもたちを抱きしめる母べえ。父べえが運ばれる日に、降りしきる雪。父親不在の一家を助けていた青年に赤紙が届き出征すると知らされる母べえの悲しみ…。いくつものこころに刻まれるシーンがあるようだ。変わり者の叔父さん役で笑福亭鶴瓶も登場し、泣いたり笑ったりの2時間15分という映画。「私自身、演じるときに、二度と、この“父べえ”と“母べえ”のような時代にならないようにということを願いながら演じたつもりです」(記者会見での吉永小百合さんの話)…こんな監督と主演女優の思いに触れて、何年ぶりか映画館での鑑賞に胸がたかまる今日この頃だ。

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