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2008年5月11日 (日)

稲田センセイのお陰で映画「靖国」の宣伝効果抜群

「靖国 YASUKUNI」という映画が公開直前に一時中止になった問題について波紋が広がっている。当初は4月12日に封切予定だったが、予定していた映画館が相次いで中止を表明した。もちろんわたし的にも鑑賞はしていないというよりできない。各種の報道から察するところこの映画は、題名からしてわかるように靖国神社をテーマとするドキュメンタリーに違いない。戦時中に軍人に贈る「靖国刀」を製作した刀鍛冶の男性へのインタビューや靖国神社へ参拝する右翼や合祀に抗議する台湾人の遺族の姿など靖国神社をめぐる出来事を描いたドキュメンタリー映画だという。監督は日本に長期在住する中国人、李纓(り・いん)さんで日中の製作団体による共同作。上映中止になる発端は昨年12月20日号の「週刊新潮」で「反日映画『靖国』は日本の助成金750万円で作られた」という報道から、自民党の稲田朋美衆院議員(福井一区)らが噛み付いた。同議員は2月12日文化庁に映画の試写を要求した。文化庁所管の日本芸術文化振興会が同映画に750万円助成したことを「政治的意図がある映画への助成は問題」だと横槍を入れたことから始まる。また自民党の有村治子参院議員(比例区)も国会で質問をした。稲田議員は「靖国」派の議員連盟・伝統と創造の会会長であり、平和靖国議連などと共同で文化庁を呼んで「勉強会」を行ったりする。結局、国会議員を対象にした試写会が行われ80人くらい参加したという。試写後、稲田氏は記者団に「侵略戦争の舞台装置としての靖国神社という描き方で、政治的メッセージを感じた」「ある種のイデオロギーをもった映画に助成金はおかしい」などと語った。有村参院議員に至っては映画の助成審査にあたった委員の一人が憲法を守る立場に立っていることまで問題にし「社会人として常識的感覚がない」とまで述べる始末であった。ともかく、「反日」映画といえば黙っていないのが右翼団体だ。すばやく上映を予定している映画館付近へ例によって大声の街宣カーを繰り出し威圧した。それで、付近に迷惑をかけると思った映画館は上映中止を決めるという結果になる。自民党―右翼団体というのはある意味で似た者同士だ。「反日」と聞けば別々の体をしながら中身で行動を共にするのだ。ところがこの映画には、小泉首相による靖国神社参拝の様子はもちろん、星条旗を持って靖国神社を参拝するアメリカ人といった様子が映し出されているらしい。試写会で観たあるコラムニストによれば「中国人の撮った靖国像だから、もっと諸悪の根源として徹底追及の視点で描いているのかと思ったら、靖国を賛美する人と反対する人の姿を同一視線で記録することにより、賛成とか反対とかという視点でなく、今の靖国をめぐる日本人(及び諸外国人)の混乱をありのままに描き、結論は観た人の考えにまかす、といった姿勢を基本にしている」という。だから上映中止の動きにたいし全国紙5紙とも社説を出し、「言論や表現の自由にとって極めて深刻」と表現。テレビでもサンデープロジェクトやニュース23などで特集が組まれたりした。ついこの前の7日夜のNHK「クローズアップ現代」でも危惧が表明された。そうして今、映画人や弁護士、文化人など各界と、それに呼応した草の根からの上映を求める声が高まり、5月3日東京渋谷区の映画館で全国に先駆けて封切され、初日から長蛇の列で一日4回上映がいずれも満席というのだから驚きである。全国的にも北海道から沖縄まで現在のところ23館での上映が決まったという。さらに各地から問い合わせが来ていると配給会社は語っている。稲田朋美議員の地元福井市では、「映画『靖国』を観る市民の会」が発足し、映画サークルや弁護士の会が結集し7月12日から上映されることが決まったという。「観たい映画が観れなくなる暗い社会はごめん」という市民の声はすばらしい。稲田センセーイも弁護士だから、「事前検閲だとか表現の自由にたいする制約と言われるのは心外」と反発されるが、だが、その国会質問が一時上映中止の圧力となった経過は否めない。でもそのお陰でこの映画の宣伝効果が高まったことも確かだ。何しろわたし的にはこの映画の存在自体知らなかっただから。…近くに来たら観賞し「反日」か「親日」かとくと確かめて見よう。

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