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2008年7月21日 (月)

なんともショッキングな長距離トラックの運行

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 日雇い派遣労働や偽装請負など過酷な労働条件について、かなり知っているつもりでいたし、機会あるごとに告発もしてきたが、今日の「朝日新聞」朝刊1面と2面を使った大型特集というか、「ルポ・にっぽん」の記事には仰天した。見出しは「運ぶ 車中12連泊」「『物流の調整弁』命削る運転手」「“寝る、1持間だけ”」との活字が踊る。九州から関東の間を駆ける大型冷凍庫車の運転手の勤務実態を追ったルポである。この種のことは新聞記事やテレビ特集で過去にもあった。「分」ではなく「秒」を競うと言っても過言ではない長距離トラック運転手の命をかけた“労働”の実態を描いたテレビドキュメントは何度か見たことがある。運輸関係の労組の役員などから実際にリアルな話を聞いたことも何度かあるから、法を無視した労働実態はある程度知っているつもりだった。まさに資本主義の限界を極度に集約した非人間的な典型例だと思う。朝日記事は、40歳代の男性運転手を追っている。「岡山県のパーキングエリアに寄った。3分100円のシャワーを浴びるためだ。運転中、ずっと目が充血していた」「『最後に家に帰ったとは……記憶になかねえ』シャワーから戻り苦笑した。数えてみると熊本の自宅を出て13日目、ずっと車中泊だ」とのこと。広島県内で走行中に突然蛇行し、車体がきしんだ。男性がしきりに目をしばたかせる。最寄りのSAに入り運転席後部の一畳ほどのスペースに倒れこんだ。「運転中の記憶がない。危なかった。寝るわ。1時間だけ」と語る運転手の話。こんな車が深夜の高速道路を何台も走っているのか…。そう感じるだけでもゾッとする。寝るときは冷房をつけたいが、デジタルタコグラフが搭載されており、評価点数に加算されるし、燃料節約で使用できない。洗面道具や衣装ケースなどの生活用品が車内にあふれ、頭上の棚に空のペットポトルがあり、急いでるときはこれに小便するという。「連続運転は最長4時間」「最大拘束は一日16時間」これが国の労働基準だが、「違反なしでは食っていかれん」と。また、居眠り運転で事故を起こしても、「居眠り」と認めれば、勤め先も過労運転の責任を問われるので、警察には「脇見運転」で通すという。こうして絶えず事故と隣りあわせで年間走行18万キロ、地球を4週半するという実態が克明に描かれている。国が1990年から、運送業の新規参入や営業区域の規制を緩和した結果、事業者と車両台数が急増、06年度で6万社を超える。新規参入の事業者の8割以上が最低基準の保有台数5台で家族経営並みの規模で、10台以下の零細業者が半数を占め、51台以上はわずか6%にすぎないのがこの業界の特徴。保険料の半額負担が会社に義務付けられているので社会保険に入っていない会社は27%に達するという。今、サブプライム問題に端を発したアメリカ経済が空前の不景気とか地球上の食糧難、水不足、温暖化などで資本主義の限界がささやかれているが、その資本主義の流通経済を支えてきたトラック業界で、このような末期的な使い捨て労働が社会問題化している。これでは発展する資本主義と言えるだろうか。1業界のことだけだがそんな矛盾がいろんな業界にも噴出しているのはないか。そういう意味合いをもった力作のルポだと感じて読んだ次第である。

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