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2008年11月12日 (水)

田母神論文は1個人でなく自衛隊の組織ぐるみでは?

 昨日、参議院外交・防衛委員会で田母神俊雄前航空幕僚長を参考人として招致し、氏と政府の対応を質した。自衛隊というれっきとした軍隊のあり方が問われる重要問題なのにテレビ中継もなく、新聞報道で垣間見るしかなかった。そのなかでいくつかの新たな事実がわかった。田母神氏は、航空幕僚長在任中にその職権を生かして、基地視察などさまざまな機会で「訓話」とか「講和」で論文にあるような「決して日本が侵略のために中国に出て行ったのではない」などと「濡れ衣」論をぶっていた。いわば職務権限をつかって自衛官に「教育」していたというのだ。また、田母神氏は統合幕僚学校長だった2004年に、自ら主導して幹部教育カリキュラムに「国家史観・歴史観」を新設。外部からの講師として歴史を歪曲する教科書作成をめざす「新しい歴史教科書をつくる会」の副会長を招いていた事実もわかった。その講師は「現憲法体制は論理的に廃絶しなければならない虚偽の体制」と主張していた。要するに現憲法を廃絶する立場の人間を呼んで講師に当たらせていた。だから、憲法にも政府見解にも反するようなことを幹部自衛官に教えていたわけである。公然と隊内で田母神流にまちがったことを教えることは組織的な言論のクーデターに等しい。さらに、今回の懸賞論文の主催者であるアパグループの元谷代表を航空自衛隊小松基地(石川県)でF15戦闘機に48分間の体験搭乗をしていたことも判明。民間人が自衛隊の輸送機や戦闘機に搭乗して滑走路を走ることはあっても、戦闘機で飛行する例はきわめて稀だそうである。元谷氏が「小松基地金沢友の会」会長で10年間の「功績」に対する特別な便宜をはかったわけだ。そんな関係で自衛隊員が私的にホテルを利用する場合はアパグループのホテルを使用し宿泊料金割引の適用も受けていた。ふ~ん、田母神氏とアパグループは密接な関係にあったということだ。これでは田母神氏の論文が300万円つき最優秀賞に入ったわけがなんとなくわかる気がする。論文の審査員をしたという人がテレビで「私はあの論文に0点をつけた」とおっしゃっていたが、それでも最優秀とはうなずける。もっとも昨日の「産経」新聞では「0点というのは事実でない」と、産経新聞の人らしい審査員がわざわざ書いていたけれど…。最優秀藤誠志賞(藤誠志とは元谷氏のペンネーム)は300万円というのは、凡そ目的がいかに歴史を偽るかという特異な懸賞にしては相当高額な賞金である。優秀賞30万円、佳作1万円と比べてもずば抜けている。それだけ高額な賞金だから選考にも苦慮?しただろう。昭和の戦争は自存自衛のためのやむをえない戦争であったと主張してはばからないのが靖国神社である。それとまったく同じこという人が先に述べた自衛隊幹部教育カリキュラムの講師を務めていたのである。そして防衛大学の必修教科書「防衛学入門」で第二次太平洋戦争は「自衛を基本とした権益の増大とその衝突」とし、明治以後の日本の侵略戦争をすべて「自衛が基本」の戦争観で書かれていることも判明。この入門は安倍内閣のときにつくられた。田母神氏を航空幕僚長に任命したのも安倍内閣時。アパグループの元谷代表が主催する「日本を語るワインの会」で親密だった安倍氏。元谷代表は安倍氏の後援会「安晋会」副会長。懸賞論文に組織ぐるみで応募し最終94人の自衛官も応募。そのうち60数人は小松基地からである。田母神氏を参議院で招致した昨日、「産経」新聞には1ページ全面の「意見広告」として田母神論文の全文が掲載された。意見広告を載せるほどのメディアだから今回の問題でも許容的記事が多い「産経」。迷走する麻生内閣の裏で黒い糸に繋がるような日本の歴史歪曲の動きが加速している今日この頃なのか。世界でも有数の部隊と兵器、爆撃機や艦船をもつ「自衛」隊が過去の教訓から学ばなくなったとき、空恐ろしい気がする今日この頃である。

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