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2008年11月22日 (土)

「派遣切り」の大風…大企業は社会的責任を果たせ

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 いわゆる「派遣切り」…派遣労働者をバッタバッタと無情にも解雇する状況が大企業などで嵐となっている。時は「年の瀬」に吹きすさぶ悲しい嵐である。トヨタはすでに3000人も削減した期間社員をさらに3000人減らす。いすゞ自動車は国内で働く期間・派遣労働者の1400人全員を年内に解雇する方針だ。同社は営業・経常利益ともに600億円を見込むという体力があるにもかかわらず解雇する。マツダ自動車は派遣社員800人のうち、年内で満了となる約500人の契約を更新しないという。日産自動車が派遣社員1500人、スズキも同じく600人、ホンダ埼玉製作所は270人の期間社員を削減する。自動車以外でもキャノンなど派遣・期間社員を削減する。どこでも巨額の溜め込み利益を持ちながら、切るのは派遣・期間社員など非正規社員ばかりである。多くの非正社員は、派遣会社の用意する寮を追い出される。そして寮費や生活備品などの貸し出し料を差し引けば手取りは10数万円という過酷に安い賃金で仕事は正社員と同じ労働をしてきてこの結果である。使い捨てもいいところで企業の調整弁となってきたのである。例えばトヨタ本体の正社員の平均賃金は年間830万円にたいし、期間社員は220万から250万円。もちろん正社員と同じ生産ラインで働くのであるがこんなに差がある。トヨタグループ全体では03年から期間社員を導入し始め、当初4万人から8万7千人と2,1倍に増やし増益をはかってきた。隠し利益と言われる内部留保は03年の9兆5千億円から07年度には13兆9千億円にまで増やしている。非正社員あればこその溜め込みだ。正社員一人あたりの内部留保は4400万円である。もし仮に8万7千人の派遣・期間社員を全員を正社員にした場合でも一人当たり内部留保は3450万円もあり、経営が危なくなることはない。労働総研というところの試算で、大企業全体で363万人の非正社員を正社員化すれば5兆円近くの消費を増やせるという。363万人を正社員化するのに8兆円いるが、大企業の内部留保は228兆円もあるから、わずか3.5%を吐き出せば正社員化は可能であるという。5兆円もの内需が増えるのは、いま騒がれている税金をばらまく定額給付金は2兆円。その2.5倍もの波及効果を生み景気回復につながる正しい道筋だ。先日の金融サミットでもそれぞれの国が内需を増やすことが強調された。そのためには企業が社会的責任を果たすとともに政治の責任も大きい。派遣などワーキングプアを生んだ最大の原因は労働法制の規制緩和にあるのだから自公政権の責任は重大である。ところが規制緩和を画期的にすすめた小泉政権以後の安倍、福田政権はもちろん、麻生政権も大企業の利益を重んじるばかりで雇用破壊の規制強化にはきわめて消極的である。派遣切り=失業者増大=消費低迷=景気後退という図式の悪循環では未来はない。そんななかでもまだ端緒的ではあるが、労働者が労働組合をつくって会社と交渉するなどのたたかいを通じて正社員化を勝ち取っている事業所も生まれているのは朗報である。そういう運動こそ希望ある未来をつくるものとなるし、これから大いに高まってくるだろう。80年前に発表された小林多喜二の小説「蟹工船」がいまブームを呼んでいるのもそうした反映であろう。大量の「派遣切り」を進める資本とのたたかいこそ正義の闘争であると思う今日この頃だ。

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