先進国では医療費の窓口負担はゼロが常識
総選挙に向けて各党のマニフェストとかいうものが出て報道でも比較がされている。われわれ高齢者にとって関心の深いものはなんと言っても医療費である。国が勝手に75歳で区切って「後期高齢者」なんて差別した制度が昨年来から大問題になった。負担を重くし、医療の中身は安上がりなものしか受けられないという差別医療を押し付けたからである。世界に例のない差別制度である。各党のマニフェストでは民主党、共産党、社民党はこの後期高齢者医療制度は廃止を打ち出している。この制度の原型は2000年に自民、公明、民主、社民などの各派共同提案で改悪健康保険法の付帯決議に盛り込まれたものである。このとき唯一反対したのは共産党だけだった。民主党は05年総選挙マニフェストには「独立性の高い、新たな高齢者医療制度の創設」をかかげていたが、昨年の制度発足後、国民の怒りが高まるにつれて、日本共産党などとともに、廃止法案を国会に提出し、参議院では野党の賛成多数で可決した。その後今回のマニフェストに廃止を盛り込んだわけである。だから、総選挙で大事なことは最初から一貫して反対してきた共産党が伸びれば「廃止」が実現することが可能になる。また、後期高齢者医療制度だけでなく、共産党は先進国で当たり前の“窓口負担ゼロ”をめざすと総選挙公約にある。とりあえず子どもと高齢者の医療費を無料にする、国保料を一人当たり1万円引き下げも提案している。窓口負担とは、75歳以上が1割、ただし現役並み所得者は3割、70歳から74歳は2割にする方向だったが08年、09年は1割に据え置き、現役並み所得者は3割、義務教育就学後から69歳までが3割、義務教育就学前は2割である。この負担をゼロにすることは画期的な提案である。ところが窓口負担ゼロというの実は先進国では当たり前なのだそうである。ビックリである。OECD(経済機構開発機構)という世界の先進国が加盟する機構では加盟30カ国中、外来が原則無料は12カ国(カナダ、チェコ、デンマーク、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、オランダ、ポーランド、スロバキア、スペイン、トルコ、イギリス)もある。同じく原則無料で一部の高額所得者が有料というのはオーストリア、メキシコ、アイルランド、そのほか、外来入院とも定額制・償還などで実質低負担が6カ国、かかった医療費に応じた定率負担が3カ国である。いわばOECD加盟国の8割の国ではお金の心配ご無用で医療を受けられるのである。現役世代で外来・入院とも30%なんていう国は日本である。かつては1983年までは健康保険本人は無料だった。70歳以上も1981年までは無料だった。窓口負担ゼロでは医療にかかる人が増え金がかさむと考えがちであるが、無料化は早期受診・早期治療が可能となり、重症化を防ぐことで結果的には医療費の増大を抑える効果があると言われる。これらの財源には1兆7500億円である。消費税に頼らなくても軍事費や大型開発のムダ、政官財の癒着による浪費、政党助成金などにメスを入れること。大企業・大資産家への行過ぎた減税を見直し、能力に応じた負担を求めることで財源はつくれると共産党は主張する。こうした理にかなった主張する党が伸びてこそ民主党が政権を獲得した元でもその背骨を正してゆくことができると確信する。
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