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2009年10月 2日 (金)

大事故を起こしても根本的反省ないJR西日本

「乗客の命より会社の稼ぎを守るJR西日本」…そう言われてもしかたがないと思われることが発覚した。あれから4年半近くになるが兵庫県尼崎市のJR西日本福知山線で起きた大惨事、運転手を含めて107人が死亡し、5百数十人の重軽傷者を出した史上最悪の鉄道事故は誰しもまだ記憶に残っていることだろう。直後に作られた国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時の名称)、現在は運輸安全委員会というが以下は当時の旧名称の「事故調」と言おう。事故調は言うまでもなく公正・中立の立場で事故の原因を解明し再発防止に役立てるため設置される機関である。ところがこともあろうに、事故調の調査報告書が公表される前にJR西日本の事故当時の山崎前社長が事故調委員をしていた旧国鉄OBの委員に飲食接待を行い、調査状況や報告書の内容を密かに受け取っていたということがバレたのである。受け取るだけでなく事故原因の核心部分の一つである「新型自動列車停止装置、ATS-Pの設置を怠っていた」との指摘を報告書から外すように働きかけたというのだから言語道断な話である。山崎前社長は事故から約1年余り経った06年5月頃から5回に渡って国鉄OBの事故調元委員と接触し、「ATSに関する部分は表現を和らげるか、削除して欲しい」と要請したという。元委員はこれに応じて修正を迫ったが、いくらなんでもあれだけの大事故なのだから受け入れるわけには行かなかったのだろう。事故から2年余り後の07年6月に事故調の報告が公表された。それは当然ながら事故の背景として、過密ダイヤで余裕がなかったこと、新型ATSの設置の遅れ、運転手にたいする懲罰的な「日勤教育」など問題点を指摘した。そのうえでJR西日本が「稼ぐこと」を目標の第一にしていたことも指摘せざるを得なかった。JR西は大都市が集中する京阪神地域で、ラッシュ時などは一本の電車でも物凄い数の乗客があるにもかかわらず、競合する私鉄各社に勝つために隙間がない過密なダイヤで分・秒単位の運行や、少しでも遅延した運転手に懲罰としての「日勤教育」でしごいていた。だから何十秒かの遅れがでるだけでそれを取り返すためにスピードを上げさせる仕組みだった。あの事故現場は電車にしては難解な急カーブだったがスピードを下げられず脱線、転覆、先頭車両はビルに激突した。「カーブの手前で新型ATSさえ設置されていたら」と思うのは誰しもである。当然ながらJR西日本は安全のための投資にはほうかむりして、安全軽視、利益追及の体質だと批判が集中した。にもかかわらず、事故後も事故調のメンバーであった国鉄OBに接触して不正に調査内容を入手した。事故調の委員は職務上知りえた秘密は守る守秘義務があるのだから元委員の責任も重大だ。しかも念の入った事に、接触したのは一人だけでなく山崎前社長とは別ルートで同じく別人の国鉄OBの元委員にも働きかけていたというのだから「組織ぐるみ」と言われても当然だ。ということは大事故を起こしてもなお根本的な反省をしていないことに等しい。「安全な公共交通機関」と信じて乗り、突如命を亡くした遺族、重軽傷者とご家族が怒り心頭に達しているのは当然である。人の命よりも儲け第一という会社の体質では二度と起きないという保障はないのだから、国民世論で安全第一の公共交通機関になるかどうか注視する必要がある。また国交省はすべての公共交通機関の監督を強化することや、公正・中立な事故調委員に関係するOBを構成員にした問題など検討すべきだ。

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