ゲーツ米国防長官の恫喝こそ大問題だ
総選挙から2ヶ月余、民主党中心の政権が正式に組閣されてから1ヶ月半になろうとしている。初の国会論戦は注目モノであったが、なにやら民主党中心の政権の雲行きは不透明になるばかりである。某テレビ関係の世論調査ではすでに支持率で選挙直後から二桁の10%台の減少を示した。政権が変わったのだから「ご祝儀」的支持もあったろう。ご祝儀相場は100日が目安というから臨時国会が終った頃にはバケが剥がれた支持率が出てきてさらに後退するのではないだろうか。無理もない。民主党が大きな声で叫んでいたのは「政権交代」という4文字熟語だけで、選挙中に民放のテレビ党首討論で「普天間基地の県外・国外移設が望ましい」という鳩山代表(当時)の発言さえ、衆院予算委員会で岡田克也外相が「あれは公約ではない」と否定するほど閣僚のなかでさえ重大な食い違いを見せるのだ。「政権交代」という4文字は正解で国民のブームを呼んだ…というよりはそれほどに自公政権への怒りがマニフェストどこ吹く風ながら4文字熟語だけで吹きまくった選挙だった。だからフタをあければ寄り合い世帯の中身はみんなバラバラ内閣。自民党の川口順子というアメリカ一辺倒の元外相から、「唯一の同盟国」に対しては「静かに水面下で見えないような形で言うことが大事だ」とお説教までされる始末。普天間基地問題だけでも首相から外相、防衛相、はては官房長官までワイワイガヤガヤ。結局、12、13日のオバマ大統領の来日までにクリントン米国務長官と決着つけるための岡田訪米も官邸によって潰されたようである。「岡田氏の『独走』を警戒する首相官邸」(産経新聞)の策動だったらしい。そこへ今度は「オバマ大統領来日一日延期」だ。理由は日本時間で昨日、テキサス州のフォートフット陸軍基地で精神科担当の軍医である少佐(39)による銃乱射事件が起こり、兵士ら13人死亡、30人負傷という事件だ。その追悼のためにオバマ来日が一日伸びた。この少佐は近くイラクかアフガンに派遣される予定だったとかで精神的に不安定になっていたらしい。同基地には3万5千人が駐留しているが、03年以降だけでも同基地の兵士75人が自殺したという。人間同士の殺し合いの場所へ派遣されるのだから誰でも多かれ少なかれ不安定になるだろう。冷酷非情に派遣を命じる輩はそれこそ動物的心臓をしているか、馬鹿かどちらかだ。それほどに戦争やテロというのは最悪の無駄なことである。ついでだが、オバマ大統領のノーベル「平和」賞受賞について米国内の世論調査では56%が不支持(CNN調査)という。「核廃絶」を言うだけで一つも減らした実績はまだないのだから当然だ。核兵器廃絶を言うならその核兵器を爆発させた日本で戦後64年も米軍に侵略されたまま。日本の国土の0.6%しかない沖縄県に、本土を含めた米軍基地の75%も集中しているのだ。普天間基地に駐留するのは米海兵隊とヘリ部隊である。海兵隊というのは迅速にどこへでもどんな任務ででも対応する能力を持った、いわば「殴りこみ部隊」である。古くはベトナム戦争からイラク、アフガンへの出撃基地として普天間から派兵されたのである。「日本を守る」どころか、日本ではヘリの墜落やら、殺人から少女暴行事件、婦女暴行や強盗などの犯罪だけはあちこちでやってくれた。それなのにゲーツと言う国防長官は恫喝的に「名護市へ移設なしに沖縄での海兵隊の縮小もない」とのたまったのである。エラそうに日本という家に土足のまま乗り込んで来て、金を出させ、犯罪までひきおこしたあげくに恫喝する。まるでヤクザの世界だ。オバマ大統領が本気で「核廃絶」とか「軍縮」とか言うのであればせめて日本で基地の一つや二つくらい返還して見せて欲しいものである。同時にアメリカでも言われているのは、「日本で政権が変わったのだから、どういう対応をとるか決めるのは日本だ」というまともな声もあるのだから、新政権もいつまでも公約に反する無責任な態度でなく、沖縄県民の圧倒的な願いは基地撤去なのだから、きっぱりとオバマ大統領に言うべきである。
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