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2010年2月26日 (金)

トヨタ問題はメイドインジャパンの信頼を損なう

 「メイドインジャパン」の信頼が損なわれている。トヨタ車のリコール問題をめぐってアメリカの議会の公聴会に出席した豊田(とよだ)章夫社長に対し、米国下院議員から辛らつな批判が寄せられた。「トヨタには、消費者の安全より、もうけに関心をはらっている明白な証拠がある」と、米道路交通安全局の調査を遅らせることにより、リコールを回避。1億ドル(約92億円)の節約につながったとの北米トヨタ社の内部文書を指し、「道路交通安全局は納税者を見捨て、トヨタは顧客を見捨てた」とまで、公聴会のタウンズ委員長に指摘された。「もうけ優先」や「欠陥隠し」について厳しい批判が飛び出し、ついに「メイドインジャパン」の物づくりの信頼性にまで及んだのである。こんな報道を聞いていて思ったのは、米国にもトヨタ社があり、トヨタ擁護の論陣もあるなかでも、アメリカ議会というところは大企業にきっぱり物を言うところだなと感じた。金融危機に際してのGMなどビッグ3の幹部を呼んで痛烈な批判をしたこともあった。日本の国会などはよほど重大な事故なでないかぎり、大企業による派遣など使い捨て労働の違法性など個別の企業名をあげて追及されても、与党の答弁では「個別の案件には答えられない」というだけだ。それと比べればアメリカはスッキリしているなあと思ったし、米メディアもじゃんじゃん報道するようだが、日本のメディアはまるきし大企業には弱いのである。それが大企業の横暴を許している。しかし、トヨタは「メイドインジャパン」の信頼を損ねたのは確かであるし、日本のメディアもそれなりに報道している。2009年8月のサンディエゴで起きたトヨタの高級車レクサスが突然暴走し時速160キロという恐ろしいスピードで衝突、大破・炎上して4人の家族全員が死亡した事故によって、トヨタはやっと本格的なリコールの対応に乗り出した。本当のところはトヨタ車の暴走は2003年当時から米運輸局が調査に乗り出していたという。その意味で米交通安全局の調査の怠慢も批判されているのである。トヨタはトヨタでサンディエゴの事故を社長が知ったのは「昨年末あたり」だったと証言したように、後手後手の対応は「人材育成が、生産拡大のスピードに追いつかなかった」という反省の弁に表れた。それでも浮上しているアクセルやブレーキの電子制御システムの欠陥疑惑については「設計上の問題はないと確信している」と否定した。同時に社長は「物づくりを実践する最大の鍵が人づくりである」とも語った。またトヨタの基本理念には「下請けとの共存共栄」とある。だとするなら、長年にわたって安全な品質のために貢献した正社員を次々切り捨て、短期間のつぎはぎの非正規労働者に置き換えたり、下請け単価をたたきまくるやり方は安全や技術の蓄積を無視するものではないか。あいつぐ労働法制の規制緩和でも「製造業への派遣労働禁止」は最後の砦として守られてきたが、これも03年にとっぱわれ、低賃金で過酷な条件の派遣労働にとって変わり、自動車のみならず電機など多くの製造現場が様変わりした。そういう意味で日本が誇ってきた優秀な技術による「ものづくり」は危機を迎えていると言えるし、その根本を見直す時期ではないかと強く思った次第である。

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