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2010年5月15日 (土)

「米海兵隊は抑止力」論で思考停止した鳩山首相

 いやはや、もうなんと表現したらいいのか、チャランポラン内閣及び首相である。TBSテレビ「朝ズバッ」の最初に「今日の顔」というその日のメインの顔が表示されるが、このところ毎日のように鳩山首相の顔である。視聴者は辟易する。あれほど普天間問題の「5月末決着」を叫んでいたのに、どうやら、「末」が「未」(下の横棒が長い方の字)で「未決着」になるような「6月以降も」云々と言い始めた。それもなんのお詫びもなしに平気で言うところがいかにも国民を無視している。最初からわかっていることだろうに。八方美人のようにアメリカにも、連立与党にも、そして「移設先」の地元にも、納得してもらうような案などは到底不可能だってことは…。結局、自民・公明政権時代に決めた辺野古に新基地と逆戻りしそうである。いったいなんのための政権交代だったのか。ウソツキで政権交代したという点では自公政権より悪いが、迷走、逆走のおかげで「何が本当の解決の道であるか」という命題について沖縄県民や国民が広く知りはじめたことが不幸中の幸いである。一番手っ取り早いのは、普天間をむりやり強奪して基地にしたのはアメリカなのだから、海兵隊の武器やら軍用機など自分が持ってきたものはアメリカに持ち帰ってもらうことである。アメリカ本土のどこに置こうが日本は文句をいう筋合いはない。それが言えないのは「学ぶにつけ、沖縄に存在する米軍全体のなかで、海兵隊は抑止力が維持できるという思いに至った」と5月4日の沖縄訪問で語った鳩山首相の本音があるからだ。いったい誰から「学んだ」のか。おそらくアメリカ側か、防衛省の一部官僚なのだろう。いまごろ学ぶなんてこと自体もいかにも間が抜けているけど。「海兵隊イコール抑止力」と言ってはばからない首相である。この点は本当の「学習力」に欠陥がある。米国の海兵隊は第1、第2、第3と言う3つの「海兵遠征軍」があり、第1と第2は米本土に配備、第3海兵遠征軍が沖縄に常駐している。米国の同盟国では他にどこにもない。隊員は少数いるが2番目に多いフィリピンでも429人であり日本は沖縄や岩国基地に17,009人とずば抜けている。その任務は、海外に真っ先に出動して上陸作戦を行ない足場を築き上げる軍事介入にあることだ。アメリカの法律で海外での「上陸任務」が第一義的仕事と決めているものだ。「沖縄の海兵隊は日本の防衛には充てられていない」とまで米議会で証言されているのである(1982年)。古くはベトナム戦争などあちこちに派兵されたが、現在はもっぱらイラクとアフガンである。日本の海兵遠征軍から毎年数千人が派遣されているのである。また、沖縄の海兵隊は、オーストラリア、フィリピン、タイ、韓国などアジア、西太平洋全域で年間70~80回も2国間、多国間演習も行なうなど日本より海外のことで忙しい部隊である。こんな部隊が果たして「いざ」というときの「抑止力」になるだろうか。「抑止力」を光らせるために、さかんに「北朝鮮や中国の軍事力がコワイ」と宣伝する向きもあるが、北朝鮮問題は「6カ国協議」の枠組みがあり、そこへ北が復帰するよう中国も努力しているからその枠組みで平和的解決へ日本政府も努力するべきなのである。「北の経済、軍事的な実情から言ってかつての朝鮮戦争のような戦争はありえない」と指摘する元内閣官房幹部の証言もあるほどだ。台湾海峡「有事」をめぐって危険をあおる論者もいる。しかし、今の米中関係は、今までよりはるかに深化した関係である。まもなくGDPで世界第2位になろうという13億国民の中国を敵にまわして破壊的な軍事的対応は考えられず、経済的にお互いが依存しあう関係をめざしている。その方が米中にとっても繁栄の道なのである。台湾も中国とは経済関係で深まっている。いたずらに軍事的緊張感をあおるよりも、沖縄の海兵隊はアメリカに帰ってもらうことこそ、平和の流れを加速するであろう。沖縄県民の願いは米本土にすらない世界一危険な普天間基地の撤去であり、今すぐ日本全土の米軍基地を無くせとまでは要求していない。辺野古に新基地を造るようなことになれば、却ってすべての米軍基地撤去の声が日本中で広がることになるだろう。沖縄県民の苦しみよりも、海外での上陸が第一義的任務の海兵隊を「抑止力」と決め付けるアメリカ一辺倒ではなく、鳩山首相はいったいどこの国の首相か、軍拡か軍縮か、どちらをめざすのかを自問自答してもらいたいものである。今日は沖縄返還38周年記念日。この意義ある日に思った次第である。

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